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【Re-Bone Wallet /特許出願編ー10“最初の拒絶通知”<余命数ヶ月の宣告>】

 

 

【Re-Bone Wallet /特許出願編ー10“最初の拒絶通知”<余命数ヶ月の宣告>】

 

【最初の拒絶通知】<余命数ヶ月の宣告>

 

2015年も12月になるとほぼ同時に “それ” は届きました。

 

送り先を見ると <特許庁> と書いてあります。

待ちに待った審査結果が郵送されてきました。

 

面接時のやり取りから、結果は覚悟していたのでおおよその予想はしながらも(淡い期待をどこかで抱きつつ)開封しました。

 

結果は、やはり【拒絶理通知書】でした。

 

その日のうちに“Mさん”に【拒絶理通知書】が届いたことのご報告をしました。

ある程度の覚悟と準備もしていたので、早速その【拒絶理由通知書】に目を通しましたが、自分の知識だけでは理解に苦しむ箇所も多々ありました。

 

拒絶理由は非常に多岐に渡っていました。

 

●新規性

●進歩性

●拡大先願

●明確性

 

それらの拒絶理由が、ほぼすべての請求項を網羅していました。

 

やはり初めての経験という事と、反論期限が2ヶ月と決まっているので(2ヶ月が経過してしまうと出願の権利が消失してしまい、二度と同じ案件で特許出願はできなくなります)自分も多少の不安と焦りがありましたが、そんな自分の心情を察した“Mさん”から

 

『今回の拒絶理由通知は出願人に補正の機会を与えるためのものなので、記載をよく検討して対応しましょう。』

『提出期限まで2ヶ月あるので、年内に補正案を固め、年明け以降に審査官に送って見てもらうという手順でよいでしょう。』

 

とアドバイスをいただいたお蔭で、気持ちが軽くなり有り難く感じました。

 

 

 

期限は2ヶ月しかなく年が明けた一月中には、審査官が下した拒絶理由を解消して【補正書】(指摘された箇所の訂正)と【意見書】(拒絶された部分はこれで解消されましたよ、といった書類)を提出しなければならないので、拒絶通知書と拒絶理由の先行文献などを“Mさん” にお送りして自分は何度も拒絶通知書を読み返しますが、やはりどうしても直接審査官にお会いして説明を受ける必要があると考え、特許庁に電話して審査官の方に面接の希望を伝えました。審査官の方が面接を快諾してくださったので、早速日程を決めて面接の準備に取り掛かりました。

 

【拒絶理由】それぞれの引用文献を何度も読み返して、引用文献との相違点を、審査官が納得できるように説明しなければなりません。

事前に審査官の方に確認したいことや、自分なりに訂正を加えた【請求項】へのご意見も伺いたいと思っていたのでメモ用紙に書き綴りました。

 

二度目の面接日程をお知らせしていた “Mさん” から、拒絶理由から補正した【請求項】を送っていただきました。(分かりやすく解説も添えられていました)

そして、『面談のときにはとりあえず記載要件(36条)違反をクリアできるかどうか審査官の方と相談してみて下さい。』と添えられていました。

 

“Mさん” からの力強いアドバイスをいただき、いざ二度目の面接へと勇んで出掛けて行きました。

 

この辺から、“素人と玄人の違い” をまざまざと思い知らされることとなります。

 

 

何を、どう表現すれば良いのか言葉が見つかりませんが、稚拙な文章でお許し下さい。

 

“素人”である自分は、“最終的に権利化したい部分”のみを列記し(自分は可能性を広げて記載しているつもりでしたが)ソコのみで勝負しようとしておりました。

そういった形で出願してしまうと、拒絶理由に対し補正するだけの余裕がないので、その時点で手詰まりとなってしまいます。

 

“玄人”である弁理士の方の手法は、その発明の趣旨を理解して出来得る限り権利を広げて出願するのです。そうすることによって、拒絶理由に対して補正するだけの余裕を確保しておくんですね。

 

 

【審査官とのやり取りの中で、どれだけの可能性を残して権利化させることが出来るか?】

正にこの点が、良い弁理士と良くない弁理士の違いであると伺ったことがありますが、その通りなんだと自分も思いました。

 

 

“Mさん”からいただいた補正した【請求項】と自分なりに補正した【請求項】は当然ながら雲泥の差がありました。

 

しかしながら今回の【補正案】では、●進歩性と●新規性はクリアできるが、●拡大先願のおいては認められないと審査官に指摘を受けました。

 

面接でのやり取りなどの一部始終を“Mさん”へご報告した頃には、すでに年の瀬を迎えようとしていました。

 

 

今年一年、大変お世話になったことへの御礼を “Mさん” にお伝えすると、逆に労いのお言葉をいただいて恐縮でした。

 

 

会社の代表を務めていた母の ‘がん’ が発覚したのもこの頃でした。

大腸がんから、肺と肝臓と脳に転移がみられる末期がんで、余命数ヶ月と宣告を受けました。

 

治療方針を医者と話し合いながら自分にも何かできないか、ネットなどでガンのことを調べて、民間療法なども試してみたりもしましたが、見つかったタイミングが遅すぎると医者には言われました。

 

でも母も自分も後ろ向きではなくて、非常に前向きに考えていましたし、そのように取り組んでいました。

 

そして、目標を“生きているうちに特許を母へのプレゼントすること”と位置付けて、特許取得へ更なる誓いを立てました。

 

 

2015年12月の終わりのことでした。

 

つづく

 

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【Re-Bone Wallet /特許出願編ー9“面接”<淡い期待>】

 

【Re-Bone Wallet /特許出願編ー9“面接”<淡い期待>】

 

【面接】<淡い期待>

 

7月7日に特許出願(先の出願に基づく優先権主張)をして、7月15日に【出願審査請求書と早期審査に関する事情説明書】を提出してから3ヶ月以上の時間が経過しておりました。

 

特許庁からの連絡は、審査の結果が出る以前に審査官決定の通知が先に来ると伺っていたので、審査官がどのような方に決定するのかワクワクとドキドキが入り混じったような気持ちで日々を過ごしていたように思います。

 

プロトタイプ(試作品)2号の製作を始めたのもこの頃だったと思います。

 

10月も終わりを告げようとしていたとき、ついに特許庁から封筒が届きます。

 

そこには、審査官の決定した旨が記載してありました。

 

早速、特許庁に電話して審査官に ‘面接’ の申し込みをしました。

*特許出願の審査の過程で ‘面接’ といったものがあることは知っていたのですが、以前職員の方にそのことを訪ねると、拒絶されてから面接をする場合が多いけれど、基本的に特許の審査は書面を通して行うことがほとんどだから、(書面の説明方法などの勘違いや行き違いを回避する為にも)むしろ審査決定前に面接をすることは有効だと思う。とアドバイスいただいていたので速やかに面接の手続きをしたのでした。

 

 

 

 

 

特許庁を訪ねて、緊張感の中でいよいよ面接が始まりました。

 

ご挨拶と、お忙しい中面接の時間をとっていただいた事へのお礼と告げると、さっそく持参していったプロトタイプを手に、今回の特許出願で自分が訴えたいことなどをアピールさせていただきました。

審査官の方は、非常にクールな印象の男性の方でしたが、面接は非常にお話しもしやすく進行していきました。

 

自分が調べた【先行文献】との相違点なども説明させていただきました。

 

その時に審査官の方から、出願内容に対して懸念される先願を材料とした補正の示唆を受けました。

また、その部分を補正したとしても『最近の出願記録などには見当たらなくても、もっと遥か以前の記録や、世界中の特許出願についても徹底的に調べるので、同じものがすでに存在していた可能性もあるのではないか?また、万が一同じものが見つかった場合は・・・・』…とのことでした。

 

同じ発想の出願が既に存在していないことを只々祈るのみでした。

 

“Mさん” へ面接に行った時の話しの内容などをご報告しました。

 

 

“Mさん”から『審査官から先願を材料に補正の示唆をされたということは、その補正をすることで拒絶理由が解消され特許査定になる可能性が高いということです』とアドバイスを受けて、少しだけ嬉しかったですが、特許査定がでるまでは、最後の最後まで気を抜かぬように自分に言い聞かせながら結果を待ちました。

 

特許出願は、出願してそのまますんなりと特許取得できることは本当に稀で、通常はだいたい拒絶通知が届くものだと伺っていたので、その点においては面接時の補正の示唆のお話も審査官から伺っていたので覚悟はしておりました。

 

でもやはり人間というのは弱い生きものですから、心のどこかでは淡い期待をしてしまっているものですよね。

 

11月4日に審査官と面接をさせていただき、『1~2週間程度で審査結果を郵送します』と言われていたのですが、心待ちにしていた特許庁からの郵送物はなかなか来ずに、11月も終わりを迎えようとしていました。

 

 

 

ここで、大変お世話になった“Mさん” のご職業でもある【弁理士】というご職業について説明させていただきます。

自分も今回の一件がなければ、その名称すら知らずにいたので、そんな方の為に簡単にご説明すると。

 


 

 

 

【弁理士とは?】

 

*日本弁理士会のホームページでは、このようにお説明されております。

【弁理士は〝知的財産に関する専門家〟です。】

 

〝知的財産権とは〟

人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。 そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。 知的財産の中には特許権や実用新案権など、 法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあります。 それらの権利は「知的財産権」と呼ばれます。 主な知的財産権には以下のものがあります。

 

■特許権

発明と呼ばれる比較的程度の高い新しい技術的アイデア(発明)を保護します。「物」「方法」「物の生産方法」の3つのタイプがあります。

 

■実用新案権

発明ほど高度な技術的アイデアではなく、言い換えれば小発明と呼ばれる考案を保護します。
実用新案権は無審査で登録されます。

 

■意匠権

物の形状、模様など斬新なデザイン(意匠)。

 

■商標権

自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するためのマーク。

 

■著作権

思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの。
コンピュータプログラムも含みます。

 

■回路配置利用権

独自に開発された半導体チップの回路配置。

 

■商号

事業者(法人を含む)が自己を表示するために使用する名称(商号)。

 

■その他

不正競争の防止、育成者権など。

 


 

 

◆正直申し上げて、特許出願の【請求項】にいかに意味合いをひろげた記載が出来るか?

出願から審査にはいってから、審査官からの拒絶通知に対しての補正書と意見書の作成と審査官とのやり取りなどは、素人では厳しい部分もあります(これはあくまでも自分の能力ではですが…)。

 

それと同時に “日本語表現の難しさ” を痛いほどに実感しました。

何てことなさそうな一文の中に、どれ程の意味を籠め、どれほどの意味を捨てる(限定)するのか….弁理士の方は、その哲学と共に“日本語のプロ” でもあると実感いたしました。

 

それぞれ、ケースバイケースの部分もあるかとは思いますが、どうしても“特許取得” をゴールと設定するのでしたら、やはり弁理士の方をお探しされた方が、その可能性が広がるのではないかと思います。

 

ただ、誰でも良いというわけではなく弁理士の方もそれぞれ得意分野が違いますし、自分が表現して伝えたい本質を理解していただける方が見つかるまでお探しされた方が良いのかもしれませんが…。

 

 

 

そして2015年も12月へと突入していきました。

 

 

つづく

 

 

 

 

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【Re-Bone Wallet/特許出願編ー8“諸刃の剣”<戦略としてのグレー>】

 

 

【Re-Bone Wallet/特許出願編ー8“諸刃の剣”<戦略としてのグレー>】

 

【諸刃の剣】<戦略としてのグレー>

 

 

【出願審査請求書と早期審査に関する事情説明書】

 

“Mさんとの運命的な出会い” のあと“Mさん”のご尽力のお蔭で、5ヶ月かけて明細書を完成させ2015年7月7日に改めて特許出願【国内優先権の主張】を済ませて参りました。

 

ご報告も済ませると早速、出願審査請求書と早期審査に関する事情説明書の製作に取り掛かりました。

 

特許出願しただけでは、特許権を得ることはできません。

通常ですと特許出願から1年半後に、特許出願の情報(明細書)が開示されます。

(特許取得できた場合、この開示日から特許件の侵害を訴えることができるようになります。)

 

特許出願から審査請求をせずに3年間が過ぎたところで特許出願の権利が消滅します。

ですので、特許権を得る為には特許出願から3年以内に審査請求をしなければなりません。

 

先日の【抑止力としての特許出願】は、この3年間のイニシアティブを指しています。

 

実は、“Mさん” からも当時、この3年間のイニシアティブのアドバイスを受けたこともありましたし、商標登録などのアドバイスもいただいておりました。

*特許出願には、“白か黒か?” だけではなくて “戦略としてのグレー” も存在する、ということだと思います。

 

当時の自分は猪突猛進というか、伸るか反るか!

そんな気持でしたので、‘何としても一日も早く特許を取得するために頑張る’ことしか頭にはありませんでした。

今思えば、そういった戦略的なことも考えられない程に余裕がなかったのかもしれません。

 

 

 

 

◆ここで、特許出願においてもっとも基本的な注意点を書き忘れていたので、念のために記載します。

 

【特許出願前の注意点】

特許出願をする以前に、過去の出願に同じものがないかチェックするのはもちろんですが、絶対にやってはいけないのは “特許出願するものを公共の場に知られてはいけない” です。

例えば、今は多くのSNSなどがありますが、そういった場で出願前に『今度、これで特許出願します』みたいに載せてしまったら、その時点でアウトです。

 

特許の基本は【出願以前にまだ世の中に存在していない】ことが絶対条件なので、たとえ出願人本人でも公共の場に知られてはいけないので注意してください。

 

 

【出願審査請求書】

 

普通に特許出願をして、一年半後には情報公開されるのですが普通に審査請求をして特許取得までに要する時間は二年半~三年くらいかかると言われていました。

出来るだけ早く審査をしてもらいたかった自分は、特許出願の翌週に【出願審査請求書】と同時に【早期審査に関する事情説明書】の書類を提出してきました。

 

特許出願をしただけでは審査されることはないので、特許出願のあとに審査して下さい、と【出願審査請求書】の手続きをしなければならないのですが、普通に【出願審査請求書】をしただけでは、審査まで二年くらいかかるともいわれています。

(特許出願から一年半後に情報公開されてから順番に審査されるからです)

 

*出願審査料金

118、000円+(請求項の数X4,000円)

 

 

ですが、『一日でも早く審査していただきたい』そう思っている方の為に、特許には早期審査というものがあります。

早期審査・早期審理制度は、一定の要件の下、出願人からの申請を受けて審査・審理を通常に比べて早く行う制度です。

 

◆早期審査請求は、通常の審査請求と比べて(1年半~2年)飛躍的に早い審査(3ヶ月程度)を受けれるというメリットがありますが、その反面、出願情報の公開が早まることは勿論ですが、特許出願から早ければ半年あまりで特許出願の権利が消滅してしまうかもしれないというデメリットもあり、まさに諸刃の剣です。

 

  • (1) 早期審査の申請をするには、「早期審査に関する事情説明書」、早期審理には「早期審理に関する事情説明書」の提出が必要です。事情説明書には、書誌事項のほか、早期審査または早期審理を申請する事情、先行技術文献の開示及び対比説明などを記載する必要があります(一部、例外があります。詳細については、早期審査・早期審理ガイドラインを御覧ください。)。
  • (2) 特許庁に対する手続は無料です(通常の審査請求料等はかかります。)。

 

 

詳しくは特許庁の【特許出願の早期審査・早期審理について】をご覧ください。

 

 

【特許料等の減免制度】

また、特許には、【特許料等の減免制度】といったものがあります。

一定の要件がありますが、該当すれば審査請求料や特許料(10年分)などが2分の1から3分の1に減免されます。

 

詳しくは【特許料等の減免制度】をご覧ください。

 

 

何はともあれ【出願審査請求書】と【早期審査に関する事情説明書】と併せて【特許審査料の減免】の提出も無事に済ませてほっと一息…束の間の休息と共に、あとは特許庁からの連絡がくるのを待つのみの ‘ざわざわとした日々’ が始まりました。

 

 

つづく

 

 

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【Re-Bone Wallet/特許出願編ー7“運命的な出会い”<縁(えにし)>】

 

 

 

【Re-Bone Wallet/特許出願編ー7“運命的な出会い”<縁(えにし)>】

 

【運命的な出会い】<縁(えにし)>

 

弁理士会館へ通いながら特許出願についての様々なノウハウやアドバイス、アイディアなどをいただきながら【国内優先権の主張】(特許出願)に向けて書類を仕上げていきました。

 

その時に、少し面白かったのがある弁理士の方の提案で、ある箇所の言い方をその方の仰るように書き直しして後日、別の弁理士の方に明細書に目を通してもらったところ『ん?ここのこの表現だけど・・・』と、先日別の弁理士の方の提案で書き直しした箇所に対して又、別の提案をされるという…結局先日の弁理士の方に申し訳なかったのですが、更に書き直しをすることとなりましたが、その方との出会いの記録として残したい気持ちもあったので、一箇所だけ原文をそのまま残しました。

 

実は後ほど…本当に最期の最後になって、その時に残した一文の言い回しによって、審査官からアドバイスをいただく事となって助けられる事となります。

 

後から思うとムダな出会いは一切ありませんでした。

 

出会った弁理士の方から受けたアドバイスは、必ず全て明細書に反映させて頂いていたので、その【明細書】は出会っていただいた方々と過ごさせて頂いた時間と気持ち(想い)そのものでした。

 

 

その時に思ったのが、やはり言葉を使った職業なので弁理士ひとり一人に哲学のようなものが在るのだなぁ…と。あと、やはり弁理士それぞれの得意分野があるので、ひと言に“弁理士” といっても、その案件に対して得意としている方を探された方が良いんだなと思いました。

 

当然のことなのですが、特許出願前と特許出願後とでは多少なりとも弁理士の方たちの熱が違ってきている事も薄々感じていたので、ここから先は一人で頑張るしかないな…という考えが頭をもたげ始めていました。

 

お会いした弁理士の方々が仰る “このまま出願するのは惜しい” その言葉の真意も分からぬまま、‘自分が出来る限界はもうこの辺なのかな?’ そう思い始めていました。

 

これ以上どうしたらよいのか・・・・・

 

先日、名刺をいただいた弁理士の方に連絡を取ってみようかな?どうしよう??・・・

 

‘あと一回だけ弁理士会館を訪ねてみよう。その後の事は、それから考えよう’

そう決心して最後のつもりで弁理士会館を訪問しました。

 

 

 

そして、いつものように訪問票に質問事項などを記入して待つことしばらくしてお声を掛けていただき、いつものようにご挨拶させていただいて明細書に目を通していただきながら説明させていただきました。

 

この時は、プロトタイプ(試作品)が出来上がっていたので持参していったように記憶しております。

 

始まって5~10分程度の時間が経過した頃でしょうか、その時に弁理士の方が発したお言葉が、自分の意図するところ(主張したい部分)のド真ん中を言い当てられたのです。

 

それまで数多くの弁理士の方々と接見させていただいてきましたが、そこまでの核心を突かれたのは(ましてやお会いしてからものの数分で)初めての事だったので、ビックリすると共にとても嬉しく思いました。

 

とてもお話しもしやすい方だったので、ついつい自分の置かれている状況や事情なども含めて色々とご相談に乗っていただいて、とても充実した “有り難くも濃い時間” を過ごさせていただきました。

 

特許出願書類の書き方のアドバイスはもちろん、“特許出願において【請求項】の部分は特許の心臓部であって特許権の範囲そのものなんだよ。” といったことも教えていただきました。

 

‘あぁ…今日はこの方とお会いできて本当に良かった’ そんな風に思いながらも時間は5時を回っていました。

相当長いお時間お付き合いしていただいておりましたので感謝の言葉をお伝えして、近いうちに特許出願(国内優先権の主張)をしたいと思います。

と伝えて退室しようとしたところで、その弁理士の方に呼び止められます。

 

 

『連絡先を教えてもらえないかな?名刺ある?』

 

『?…?!』

 

『さっき話ししていた【請求項】の部分だけど、そのまま出願するのは余りにも勿体無いから僕が考えてあげるよ。』

 

『えっ!?….でも….』

 

『大丈夫、今日ここを訪ねて来た貴方と僕が会ったのも何かの“縁”だと思うから。』

 

『ありがとうございます!!』

 

何度も何度もお辞儀をして喜び勇んでお別れをした、あの日の事は忘れません。

 

その後、言葉に尽くせぬほどにお世話になる弁理士 “Mさん” と初めての出会いでした。

 

“Mさん”との出会いに感謝しながら、日枝神社で参拝して帰りました。

 

ただ、この時は“Mさん” が仰られた『【請求項】を僕が考えてあげるよ』の意味が、どれ程すごいお言葉をかけていただいたのか十分に理解できずにいました。

 

只々、お声を掛けていただいたことに喜んでいたように思います。

 

 

 

そして、その日の夜には “Mさん” から『僕なりに【請求項1】の文案を考えてみましたので、これをたたき台にお考えいただいたらどうでしょう』とメールをいただきました。

 

非常に嬉しく、有り難く感謝する気持ちと共に、その表現力の幅の広さに只々脱帽するばかりでした。

(とはいっても、それがどれほどの広い権利を指しているのか、明瞭には分からなかったのですが、後で解説していただきました)

 

兎に角、それ程素人の自分とプロである“Mさん”の請求項(特許の権利)には雲泥の差があったのです。

(改めて昨日“Mさん”が仰られた『僕が請求項を考えてあげるよ』の言葉の重みと同時に感謝の気持ちが溢れた瞬間でもありました)

 

早速、弁理士会館での御礼とメールをいただいた事への御礼を伝えて、“Mさん”からご提案いただいた【請求項1】を起点とした第二、第三~の請求項を自分なりに考えて“Mさん”からの返事やアドバイスなどを参考にさせていただきながら明細書を訂正&加筆していきました。

 

当時を思い出しながら現在、執筆しているのですが “Mさん” との出会い(自分にとっては運命的な出会いでした)は、最初の特許出願から数か月後だったと思っていたのですが、メールのやり取りを確認したところ、お会いしたのは2月4日で最初の特許出願から3週間も経っていなかったことを知りビックリしました。

(きっとそれくらい苦しんでいた中での ‘出会い’ だったのだと改めて思いました。)

 

それからの日々は自分がお送りした明細書や請求項、“Mさん” からいただいた【請求項】のアドバイスを基に、明細書の加筆をしていく毎日でした。

“Mさん” からいただいた請求項には、どういったことを(どういう商品を想定して)記載しているのか素人の自分に分かるように解説も書き記されていました。

非常に稚拙だと思われるような質問にも快くお応えいただいたことにも感謝の念が絶えませんでした。

 

 

 

請求項や明細書を作り上げていく中で、基本的な(よく用いられる)【請求項の書き方】も、“Mさん” からご教授いただきました。

 

毎回メールのあたまに『こんにちは。がんばってますか。』の一文に、どれほどの力を頂いたことか言葉に尽くせません。

 

 

【“Mさん”からご教授いただいたこと】

◆【請求項1】では、出来るだけ多くの含みを持たせた記載をし、それらがはねられた時の為に、より範囲を明確化(縮小)した【請求項2】や【請求項3】の記載をして、それらに従属する形態としての【請求項4~】を記載するそうです。

(もちろん例外もあるようですが、特許出願において、よくとられる手法のようです)

*上記の記載例ですと、【請求項1~3】が独立項、【請求項4~】が従属項となるそうです。

 

 

そして “Mさん” からのアドバイスを基に加筆訂正を繰り返して、出願時は9ページ【請求項2】図面5だったものが、19ページ【請求項11】図面12まで増えていました。

 

 

何度もなんども読み返して、いよいよ【特許出願】(先の出願に基づく優先権主張)をして参りました。

2015年7月7日のことでした。

 

 

つづく

 

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Re-Bone Wallet が出来上がるまで

 

 

 

 

 

 

 

 

【Re-Bone Wallet/特許出願編ー6“国内優先権の主張”<ひとりでは何処にもいけない>】

 

【Re-Bone Wallet/特許出願編ー6“国内優先権の主張”<ひとりでは何処にもいけない>】

 

【国内優先権の主張】<ひとりでは何処にもいけない>

 

ひょんな思いつきから特許庁を訪れて【発明協会(発明会館)】を紹介していただいたり【弁理士会館】をご紹介していただいき特許願の作成を進める途中で【商標登録出願】も無事にすませた翌年、2015年1月に【特許出願】を特許庁の職員様の後押しも手伝って無事に済ませて参りました。

 

その日は、それまでお世話になった方々のお顔を思い出しながら、只々感謝の気持ちと晴れ晴れとした気持ちの帰り道だったことを想い出します。

 

特許庁の最寄駅は虎の門ですが、この日から赤坂見附駅まで歩いて帰る道中の日枝神社に参拝するようになりました。

 

お会いした弁理士の方に言われていた『本当の勝負は出願してだから』の言葉を肝に銘じて再び弁理士会館へ通う日々となります。

 

というのも、弁理士会館でお会いした弁理士の方から『アイディアが浮かんだら、とりあえず書類を作製して特許出願を先行して行うと良いよ、その後で更にアイディアをひねり出しながら書類の完成形を作るんだ。大手企業は皆、その手法を取ってるから』とアドバイスしていただいていたのです。

 

 

 

【国内優先権の主張とは?】

◆実は、【特許出願】には、出願してから一年以内ならば可能な【国内優先権の主張】といった制度があるのです。

先の出願の出願人と改良発明の出願(後の出願)の出願人が、完全同一であることが必要だったり、先の出願が特許になっていない、あるいは拒絶査定になっていない、放棄、取下げになっていないこと等いくつかの条件がありますが、それらの条件をクリアしていれば特許出願から一年以内ならば【国内優先権の主張】ができるのです。

 

要約すると、もう一度特許料を払って特許出願をするようなものなのですが、先の出願からの改良発明ならば先の出願と紐づけた日付での特許出願が出来るというものです。

 

自分も一月に何とか特許出願したものの、当時の特許願では厳しいことは実感していたので更に完成形に近づける必要がありました。

 

当時の特許出願は、説明図も含めたトータルで全9ページ程度のものでした。

 

遅くても一年以内(目標は6ヶ月に設定してました)に、完成させて【国内優先権の主張】をするべく弁理士会館を訪ねては書類を訂正、書き足しする日々が続きました。

 

弁理士会館でお会いした弁理士の方ひとり一人から色々なご指摘やアドバイス、叱咤やお褒めのお言葉など本当に有り難く、建設的な時間を経験させていただきました。

 

それこそ【発明の名称】からご指摘いただいたりしておりました。

【着脱自在着せ替え財布】といった書き方をしていたのですが、“着脱自在”と“着せ替え”は似たような意味が重複しているから、この辺も審査官から補正が入るかもしれないよ?とか【課題】や【手段】【効果】の部分が薄っぺらいから、ここをもっともっと考えつくものを書き足して厚みを出していかないと等、親身になったアドバイスをしていただいたことが本当に有り難かったです。

 

当時の自分は、意味を広げて書いているつもりでしたが全く広くなく勿体無い表現をしていたのだと思います。

 

 

 

 

明細書の書き方一つとっても、『ここの書き方だけど』といって特許出願の書類には、ある程度の形があるんだよ。『〇〇と〇〇を併せ持った〇〇という名の〇〇』みたいなね…とアドバイスいただいたこともありました。

 

また、形状や素材、その集合体など様々な発想へのヒントも、この頃にお会いした弁理士の方々のお蔭でした。

 

‘人はひとりでは何処にも行けないんだな’ そんな気持ちで弁理士会館へ通いながら明細書の内容を膨らませながら完成形を目指しながら歩き続ける日々が続いていきます。

 

その頃に ‘Re-Bone Wallet/着脱財布・リボーンウォレット’ の最初のプロトタイプ(試作品)が上がってきます。

弁理士の方からアドバイスいただいた通りに実際に出来上がってからわかる効果や、そこから感じたことなどを明細書に書き足ししていきました。

 

 

ある日、ある弁理士の方から『仕事としては受けられないけど、困った事があったら連絡しておいで、些少だけど力になれるかもしれないから』そう言われて某大手企業の専属の弁理士の方から名刺をいただいたりした時も非常に有り難かったです。

 

 

 

それまでお会いした弁理士の方から言われていた言葉を思い出しました。

『自分ひとりで、そこまで仕上げたのは正直たいしたものだと思うけど、やっぱりプロじゃないから惜しいよね…このまま出願するのは』

 

 

何が惜しいのだろう? どこが惜しいのだろう?

そんな疑問が頭の中をグルグルと駆け巡る中で、自分が出来ることはやってきたつもりだし、これ以上時間をかけてもしょうがないんじゃないかな?そんな気持ちが少しずつ芽生えてきました。

 

つづく

 

 

 

 

 

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【当時の弁理士様方からいただいていたアドバイス】

◆特許出願は取得する為だけではなく、とりあえず特許出願をすることによって他社に対して“特許出願をしている商品” という抑止力にもなるんだよ。といったことや(特許出願をしてから3年間の時間の猶予があるので)特許は出願しただけでは審査されることはないので、審査請求をする必要があるのですが、この審査請求は特許出願よりも多くの費用が掛かるので、この手法を使う大手企業も多いんだよ。とのことでした。

 

◆とにかく、明細書に関しては書き過ぎということはないので一つでも多くの事柄を記載するように。審査に入ってからは書き足しは一切できなくなるので、あとで後悔しないように万全を期して審査に臨めるように何度も何度も練り直して書き足して、書き過ぎなくらい書きなさい。

 

◆アイディアが浮かんだら、とりあえず特許出願を出来るだけ早く行うこと。

その後からじっくりと取り組んで考え得る全ての可能性も含めて書類を作製して “行ける!” と思ったところで【国内優先権の主張】で特許出願をすること、最初の特許出願から期限は一年。その間に ‘特許取得は難しい’ と感じたのならムリに審査請求をする必要はない。

 

 

 

 

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